2013-01-01から1年間の記事一覧

鏡の国2

落ちる。 ねぇ、知っているかい。僕は重力の色をした傘なんだ。 ねえ、知っているかい。僕の姿を。 セタは地に着かない足で宙を蹴りながら居場所を探していた。ずっと前からこうだったような気がするのだ。ずっと前から足は地に着かないままで、ずっと前から…

鏡の国1

ふとふりかえると、ずっとこのままだったような気がする。ところどころ、すっぽり穴があいて欠落しているが、その欠落はなかったもののように、今では自分の姿を写すばかりになっていた。 意思は、その始まりから主体を必要とし、いや、それともそれはただの…